ピンキー(荒井宏之)による「イノベーションの種」をお送りするニュースレター
第3号 2025/05/29
今週の目次
1. 今週のコラム
2. 時事&トレンド オピニオン
3. 注目のスタートアップ
4. 書評
5. 動画コンテンツ評
6. エンタメレビュー
7. グルメ情報
8. AIと壁打ちリサーチしてみた
9. 未来妄想新聞
10. Pinky’s Slide:ピックアップ
11. 心に響いた名言
12. ChatGPTに聞いた先週のピンキー
13. セミナースケジュール
14. Pinky’s Message:更新情報
15. 新規事業Q&Aコラム:更新情報
16. マインドセットコラム:更新情報
17. YouTube更新情報
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https://theseeds81.substack.com/archive
1. 今週のコラム
こんにちは、ピンキーです。
今日は「ビジネス・プロデューサー」という、まだ耳慣れないけれど大企業の未来を左右する役割について語ります。
ビジネス・プロデューサー不在の静かな危機
研究所に眠る特許の束、PoC止まりのテクノロジー、最終審査会で光を浴びたまま棚に戻るビジネスコンテストのアイデア――それらが市場へ歩き出せない最大の理由は、資金でもリソースでもなく、"事業化の担い手の不在”です。
技術やアイデアを価値に翻訳し、組織を横断しながら新しい収益構造を立ち上げる総合格闘家――私はその存在を「ビジネス・プロデューサー」と呼んでいます。
ビジネス・プロデューサーが事業をデザインする
ビジネス・プロデューサーは、未来を妄想する好奇心と、解決すべき問題を定義する洞察力を持ちます。仮説を立てながら、実証をリードし、抽象と具体を自在に往復しながら事業スキームを描きます。
またその過程で、根拠のない状態で前に進むのか、後ろに進むのか、撤退するのかという「まだ形のない価値」に投資する勇気と、それを自らの責任を持って行う胆力で仲間を前へ前へと引っ張ります。
そして、不可避の失敗を学びに変えるレジリエンス、異分野の専門家を巻き込むコミュニケーション力、経営層の参謀となる対話力も持ちます。
単なるプロジェクトマネジャーでも技術エキスパートでもなく中間管理職でもなく、いわば“未知を解像度高く語れるストーリーテラー”であり“損得が見えない時期に旗を掲げ続けるファイター”でもあるのです。
大企業ではビジネス・プロデューサーが育たない
大企業の人材開発は分析力を経企で、巻き込み力を営業で、未来妄想力をR&Dでバラバラに育て、統合の機会をほとんど与えられず、複合的な能力を分断してしまいがちです。一人の身体に統合される機会がほとんどありません。
研修で視座が上がり「覚醒」しても、翌朝から元の評価指標と稟議フローが熱を奪い、挑戦の舞台にすら立てない。本当に必要なのは、覚醒のあとに“やってみる”フェーズを挟み、その経験を三年間ほど継続させて価値観を骨まで染み込ませるプロセスです。筋肉痛なしに筋力が付かないのと同じで、仮説検証の傷跡が残らないままではビジネス・プロデューサーは生まれません。
ビジネス・コンテストは、事業経験には含まれません。ビジネス・プロデューサーとしての経験は、上市してこそ育まれるものであり、お祭り騒ぎのイベント中にはプロセスの理解はできても、筋肉痛になるほど筋肉は動かせていません。
事業化の意味においても、人材育成の意味においても、事業評価というごっこ遊びをしていては、そもそも多産多死の前に多産ができていないのが、各社の現状ということが目を向けなければならない真実です。
個人の活動でビジネス・プロデュース力は伸ばせる
では個人はどう動くべきか。
第一に、稟議書が要らない範囲で小さな実験を走らせることです。ユーザーに紙芝居を見せる、APIでモックを組む、30分のインタビューを重ねる――どれも明日始められます。
第二に、熱を保つ空気を外部に求めること。越境コミュニティや社外メンターは酸素ボンベです。内に仲間がいなくとも、外に仲間がいて交流することができれば、価値観の定着は可能です。
第三に、失敗と感情のログを残すこと。壁にぶつかった瞬間を言語化してこそ、次の跳び方が見えます。自分の経験を、抽象化し、概念化し、構造化してこそ転用ができる。転用するための武器を複数持っていることが、ビジネス・プロデュース力の源泉です。
最後に、三年後の自分を先に設計すること。ビジネス・プロデューサーの視座が定着するまでの時間軸を腹に落とし、今日の一歩を位置づけるのです。
あなたの会社にビジネス・プロデューサーはいないかもしれません。ならば、あなたが最初の一人になればいい。完璧な準備は要りません。とにかく一歩を踏み出しましょう。
覚醒の火は行動でしか燃え広がりません。三年後、その炎があなたの骨格になり、組織の“事業化できない病”を溶かしているはずです。ビジネス・プロデューサーという言葉が当たり前になる日まで、ともに種を蒔き続けましょう。
情熱をこめて、
ピンキー
2. 時事&トレンド オピニオン
https://newspicks.com/user/129130/
シャープ亀山工場を鴻海に売却 来年8月までに、液晶事業縮小
https://nordot.app/1294548004783636523?c=113147194022725109
概要
シャープは三重県の亀山第2工場を2026年8月までに親会社の鴻海に売却し、液晶事業の再編を進める。かつて「世界の亀山モデル」として名を馳せた同工場だが、液晶市場の変化に対応し中小型パネルに注力する方針。25年3月期決算では堺工場の売却益などで3年ぶりに黒字を確保。28年までに車載や産業用分野で液晶売上の2.3倍増を目指す。
オピニオン
「世界の亀山モデル」が静かに幕を下ろす。これは単なる工場売却ではない。日本のハードウェア産業が、かつての栄光とどう決別し、次の基盤を築けるかを問う象徴的な出来事だ。
液晶のような汎用ハードウェアは、いまや中国・台湾勢との価格競争に埋もれ、かつての“技術力で勝つ”という幻想は通用しない。むしろ、まだその幻想にすがり、ものづくりの神話を引きずる企業ほど、じわじわと競争力を失っている。シャープの再建は一歩前進に見えるかもしれないが、その裏には、自らの優位性を捨てざるを得なかったという現実の重さがある。
これはシャープだけの話ではない。私たち日本の製造業全体が、同じ坂を下っている可能性がある。BX(ビジネストランスフォーメーション)は、単なるデジタル化や事業再編のことではない。「何を作るか」ではなく、「誰に、どんな体験を、なぜ提供するか」へと、発想を根本から変えることが求められている。
過去の成功体験に固執している場合ではない。この売却を他人事にせず、自分たちの未来に置き換えて考えるべき時だ。まだ持ちこたえている会社ほど、気を引き締めるべきだ。変わらなければ、気づいたときには“世界の亀山”が、自分たちの姿になっているかもしれない。
「新規事業ごっこ」から本気の事業創造へ——第二回日本新規事業大賞に集う挑戦者たち
https://thebridge.jp/2025/05/challengers-gather-at-the-2nd-japan-new-business-awards
概要
第2回日本新規事業大賞でキリンと日本製鉄が受賞し、大企業の中からも革新的な事業が生まれ始めている現状が示された。「新規事業ごっこ」と揶揄された過去から、実利を求める本気の取り組みへと移行が進んでいる。一方で、依然として形だけの新規事業が多いことや、ボトムアップ型の難しさも指摘されている。
オピニオン
「新規事業ごっこ」が終わりを迎えた──そんな空気を漂わせているが、果たして本当にそうだろうか?
ここ10年「コーポレートアクセラレータープログラム」「オープンイノベーション」「ビジネスコンテスト」といった言葉が日本中の企業を席巻し、各所に“新規事業らしきもの”が乱立した。
だが実際に市場に打って出て、継続的に収益を生み、社会にインパクトを与えている事業はどれほどあるだろうか。その現実と向き合わずして、「昔はごっこだったが今は本気」と語るのは、単なる自己満足に過ぎない。
もちろん最初の一歩としてのごっこ遊びに意味がなかったとは言わない。形から入って、熱が生まれることもある。けれどもそれが何年も続き、やること自体が目的化され、研修の延長線上で「事業を考えるふり」をしていたのだとしたら、もはや害悪だ。なぜなら、その偽りの前進が「やっている気分」と「変わった気分」だけを組織に与え、誰も本物を目指さなくなってしまうからだ。
新規事業とは、事業である。売上を立て、コストを超え、利益を生み、人材と資本を惹きつけ、顧客の心を動かす“作品”をつくる営みだ。「学びになった」「手応えがあった」では不十分で「社会に届いたのか」「持続可能なのか」という問いに答えねばならない。
そして今「ごっこ遊び」を制度として売り歩き、日本のイノベーション環境を5年10年単位で遅らせてきた張本人たちが、いけしゃあしゃあとその成果を語っている。彼らが何を広め、何を築き、何を残したのか。責任を明確にせずに“次のフェーズ”を語るのは卑怯ではないか。
日本の大企業がイノベーションを起こすには、まず“失敗を認める文化”が必要だ。うまくいかない取り組みを「よくやった」で終わらせるのではなく、「なぜ駄目だったか」を徹底的に検証し、そこから“失敗を成功の過程として活かす”という構造を文化にしなければならない。本当に変わったならば、ごっこ遊びの終焉は“恥ずかしさ”と“猛省”と共に語られるべきだ。それをしない限り、また別の名前をつけた“新しいごっこ遊び”が始まるだけだ。
新規事業は、演技ではなく行為だ。拍手喝采を求めるのではなく、結果を出すことで応えるものだ。「もう遊びは終わりにしよう」この言葉を、本気で口にする者たちだけが、次の時代の創り手になる。
防衛産業はなぜ“儲かる”ようになったのか? 重工3社に見る変化の本質
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2505/12/news004.html
概要
IHI、三菱重工、川崎重工のいわゆる「重工3社」が、防衛産業の再評価や国の制度変更を背景に、株価を大きく上昇させている。かつては利益が出にくく、民間企業の撤退が相次いだ防衛事業だが、近年は防衛省との契約体制見直しで利益率が改善。政府の継続的支援と制度の一貫性が、防衛産業の持続的な発展に不可欠とされる。
オピニオン
防衛産業が“成長産業”として再び注目されている。これは確かにポジティブな兆しだ。しかし、私たちはこの「期待の高まり」を手放しで喜んでよい立場ではない。むしろ、過去の痛みと失望にきちんと向き合いながら、国家としての矜持を再構築する覚悟が問われている。
かつて防衛事業は、経営リスクだけが積み上がり、企業にとっては「採算が取れないけど、やめたら不義理」という矛盾した領域だった。実際、富士重工と防衛省の訴訟のように、「国家との約束」が紙切れにも満たない扱いを受けた歴史がある。これは、単なる1企業の問題ではない。国と企業の信頼関係そのものが崩壊した瞬間だった。
にもかかわらず、いま政府が新たに「支援する」「利益を確保できる制度にする」と言い出した途端、掌を返したように市場が沸いている。その背景には、制度変更によってようやく企業側が“健全な経済合理性”で向き合える土俵が整ったという現実がある。企業にとって最も重要なのは、「国の意志が一貫しているかどうか」だ。
政府や防衛省は、過去の不誠実さを猛省し、約束を破った国の姿を恥とし、そのうえで「国防は市場任せにしない」という覚悟を明文化することだ。制度を変えるだけでは意味がない。「この産業は潰さない」と明言し、それを10年、20年単位で支えきる構造を国家が構築できるか。それができなければ、また市場は冷え込むし、今の期待は一過性で終わる。
政府に求められているのは、未来への希望ではない。過去への誠実さだ。その誠実さだけが、信頼という名の土台となり、真に持続可能な国家産業を育てていく。防衛産業の興隆は、政府の言葉が「本気かどうか」を試すリトマス試験紙ともいえる。
「別格」「想像以上」 ワークマン“2500円新作”に絶賛続出
https://nlab.itmedia.co.jp/cont/articles/3399992/
概要
ワークマンの「エックスシェルター暑熱クライミングパンツ」(税込2500円)が話題に。14種類の暑熱対策機能を持ち、紫外線・近赤外線の遮断や気化冷却による生地冷却、通気性向上などが特徴。価格に対して機能性が高く、レビューでも「一瞬で涼しい」「別格」と高評価が続出している。
オピニオン
このパンツが売れているのは、単なる“機能性ウェアのヒット”ではない。ここには、確実に生活者のリアルな「未来の欲望」が現れている。
気候変動が現実のものとなり、夏は年々「命の危険」に近づいている。そんな中で「熱を遮断する」「涼しさをつくる」という機能は、もはや嗜好性ではなく“生存インフラ”だ。つまり、テックでもライフスタイルでもなく、「気候危機×生活必需」の文脈で起きている変化だということだ。
そして注目すべきは、それが“2500円”で実現されているという事実。これは単なるコスパの話ではない。イノベーションとは、先進技術を高価格で提供することではなく、「本当に必要とされる技術を、大衆が使える価格で届けること」だと教えてくれる。
ワークマンは、ハイブランドが手を出さない領域に踏み込み、労働者のリアルから出発しながら、生活者すべての“これからの必需”を再定義している。クライミングパンツであろうが、建設用ウェアであろうが、「あらゆる人が、どんな環境でも、安全に・快適に・戦える」装備をつくっている。暑熱対策パンツは、パンツではなく未来のインフラともいえる。
ユニクロもニトリも“しゃべって売る” なぜ「朝6時配信」のライブコマースが人気なのか
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2505/11/news042.html
概要
2025年は「日本のライブコマース元年」となる可能性が高まっている。ユニクロやニトリなど大手企業も参入し、双方向性とエンタメ性を活かした“しゃべって売る”手法が浸透。成約率は通常のECの数倍に達し、朝配信などで視聴者数や売上も急増。新興企業Cellestは専用アプリ「WABE」を開発し、ライブコマースの“インフラ化”を目指している。
オピニオン
「売る」とは何か──その本質が、日本でまた一歩、動き出した感がある。
ライブコマースの成長は、単なる販売チャネルの進化ではない。これはインターネット時代、スマートフォン時代における「情報」と「信頼」と「感情」がリアルタイムに交錯する“商いの再定義”だ。台本のない即興、双方向の共鳴、そして「朝6時に起きてでも観たい」という熱量。それは商品に“物語”が宿っているという証拠でもある。
従来のECが効率や利便性に最適化されてきたのに対し、ライブコマースは「人の熱」が中心にある。だからこそ、単なるインフルエンサーではなく、現場に根ざした「ライブコマーサー」が価値を生む。彼らは、アドリブ力と即応力で顧客の不安を消し、信頼を編み、感情を動かして購買へと導く“セールスアーティスト”なのだ。
企業にとって、ライブ配信はもはや「広告枠」ではなく、「ブランドの生態系」そのものになっていくだろう。コメント、温度感、商品の動き方、視聴時間──あらゆる要素がブランドの“呼吸”を映し出している。
そして注目すべきは「35歳以上の女性層」がコアターゲットという点。これは、ネットリテラシーだけではなく、「忙しいからこそ、信頼できる他者の目と声で選びたい」という新しい購買心理が出てきていることを示しているといえる。リアル店舗で培っていた信頼が、インターネット上において実現しきれていなかったところに、“信頼の再設計”をすることにある。
特に生成AIの浸透が顕著に現れている現代においては、今後は、この信頼関係を構築することのできる「キュレーター」が、コマースにおいても、コンテンツにおいても重要になっていくだろう。
ライブコマースは、テクノロジーの話ではない。これは「商売の原点」と「未来のUX」が交差する最前線だ。今後、あらゆる業界で「話す力」「伝える力」「巻き込む力」が資本になる。しゃべって売る時代とは、つまり“熱と信頼の経済”が始まったということだ。商品を語れないブランドに、未来はない。
なぜ「不要な物」を買ってしまうのか? 脳科学に基づきマーケターが仕掛ける7つの罠
https://forbesjapan.com/articles/detail/78979?s=ns
概要
マーケティングでは、心理や脳科学に基づく「ニューロマーケティング」が活用されており、無意識のうちに購買行動を誘導されることがある。代表的な手法には、「お得に見せる表現(フレーミング効果)」「分割価格の錯覚」「おとり価格」「無料特典」「高価格との比較(対比効果)」「割引の基準提示(アンカリング)」「試用による所有意識(保有効果)」などがある。私たちは日々、巧妙な戦略に晒されている。
オピニオン
「欲しくなった」のではない。「欲しくさせられた」のだ。その一言に、現代の消費社会が抱える本質が詰まっている。
現代において、購買とは単なる経済行動ではない。それは「選ぶ」という意思の行使であり、自己実現・自己表現として自分の価値観を世に放つ行為だ。しかし今、私たちは“知らぬ間に選ばされる”時代に生きている。感情、注意、時間、行動のすべてが「売るための設計」に包囲され、意思決定の自由すら、演出された選択肢に支配されている。
ニューロマーケティングが悪いわけではない。むしろ、その洞察は深く、見事だ。だが問題は「バイアスを突く設計」が、あまりに無邪気に「売るための正義」として使われていることだ。顧客の無意識に働きかけ、理性では抗えない購買衝動を生み出す。その先にあるのは「後悔」かもしれない。そしてその後悔は、消費者だけでなく、長期的には企業の信頼もむしばむことを忘れてはいけない。
だからこそ、いま求められているのは「売る力」ではなく「買われる理由」をつくる力だといえる。機能や価格ではない「共感」や「信頼」や「ストーリー」で選ばれるブランドこそが、生き残る。消費者の“無意識”に訴えるのではなく、“意識”と対話する設計が、より一層に求められる時代になっていく。
ビジネスとは、人の心を動かす芸術であるべきだ。脳を操るのではなく、心と響き合う商売を。あなたのブランドは、顧客に“なぜ買ったのか”を語らせることができるか?
iPhoneもグーグル検索もフェイスブックも長くもたない可能性――巨大テックのトップらついに認める
https://www.cnn.co.jp/tech/35232857.html
概要
アップルやメタ、グーグルといったビッグテック企業が、かつて主流だった製品やサービスの衰退を自ら認め始めている。iPhoneは10年以内に不要になる可能性が指摘され、グーグル検索やFacebookの利用も減少傾向にある。背景には、AIやスマートグラスなど新たなテクノロジーの台頭がある。巨大企業であっても、もはや“次の大きな波”を逃せばすぐに時代遅れになるという現実が明らかになってきている。
オピニオン
巨大な王国も、気づけば「次の王」を恐れて震えている。テックジャイアントたちが法廷で語った“衰退の予感”は、敗北の宣言ではない。むしろこれは、自らが築いた時代を終わらせにかかっている者たちの、覚悟の表明と捉えることができるのではないか。
10年後、iPhoneが不要になるかもしれない──この発言は挑発でも予測でもない。「スマホという光る板」が支配した時代を終え、新たなUXの地平に乗り出す意志の現れといえる。AI、スマートグラス、ホログラム、空間コンピューティング。もはや戦いの舞台は「デバイスの性能」から「世界との接続性」へと移っているのではないか。
ここで強く意識すべきは、AIがハードウェア進化のドライバーになっているという点だ。スマホの中のAIではない。AIによってハードウェアそのものの存在意義が再定義されつつある。検索がチャットになり、スマホがグラスになり、「情報に触れる身体」が変わっていく。つまりこれは「情報インフラの再編」であり、ハード×ソフトの総力戦へとなっていく。
この変化の波を消費者が選ぶ前に企業が“恐れて”いるという事実が、今の時代の異様さを物語っている。かつては変化を創ってきた企業たちが、今は変化に間に合うかを自問している。
そしてこれは、すべての日本企業にも突きつけられている問いだ。「今のままのプロダクトは、10年後も必要とされるか?」変化に乗るか、創るか、沈むか。いまやすべての企業が「終わりを直視する力」を持たなければ、次の始まりには立ち会えない。今この瞬間から、未来を問い続ける力が試されている。
プロンプトエンジニアリングは死んだのか? “AIへの呪文不要論”がささやかれるワケ
https://www.itmedia.co.jp/aiplus/articles/2505/15/news087.html
概要
プロンプトエンジニアリングとは、生成AIから望む出力を得るための指示設計技術で、専門職として高給で注目された。しかしAIモデルの進化により、曖昧な指示にも対応できるようになり、プロンプトの自動最適化やAIエージェントの登場で、人が緻密な指示を設計する必要が薄れつつある。一方で「意図を正確に伝えるスキル」は依然重要とする反論もあり、プロンプトエンジニアリングの意味が変容しているとの見方もある。
オピニオン
プロンプトエンジニアは、もう消えるのか? いや──その“問い”自体が古びているのかもしれない。
「魔法の呪文」を操る者として称賛され、高額年収とともに脚光を浴びたプロンプトエンジニア。しかしAIは、呪文の曖昧さを理解し、自らプロンプトを生成し始めた。もはや“操作する”スキルではなく、“意図を共有する”スキルが問われているのだ。プロンプトエンジニアリングは「専門技術」から「リテラシー」へと変貌した。全ての職種がこのスキルを日常的に求められる、そういう時代になっている。
しかし一方で、AIがどれだけ進化しても、「目的の明確化」「問いの設計」「文脈の理解」といった人間固有の知的行為は、簡単に代替できない。プロンプトを考えるという行為は、「自分が何を求めているのか」を突き詰める行為であり、それはビジネスにおける価値創造の原点でもある。だからプロンプトエンジニアリングは、単なるツール操作のスキルではなく、“思考の筋トレ”であり続けるのだ。
プロンプトを磨くとは、思考を磨くこと。AIに言葉を投げる前に、自分の問いと向き合うこと。これは全てのイノベーターにとっての「基本動作」になる。プロンプトエンジニアリングは終わらない。それは、AI時代の「知的対話力」として、これからも形を変えながら生き続ける。
妄想とAIで眠っている技術が覚醒…革新的な知財活用プラットフォーム
https://biz-journal.jp/unicorn/unicorneye/post_337243.html
概要
「知財図鑑」は、企業や大学に眠る未活用の特許技術を掘り起こし、新たなビジネスアイデアとつなぐ知財活用プラットフォーム。AIを用いたSaaSツール「ideaflow」では、特許をもとに妄想的な未来体験を描き、クリエイターや研究者との共創を促進。企業内の分断や知財の“囲い込み”文化を超え、技術とニーズの橋渡しを実現しようとしている。関西万博でも導入され、知財の民主化とイノベーション創出を目指している。
オピニオン
イノベーションの芽は、いまも企業の倉庫で眠っている──それが日本の現実だ。数十万件の特許を抱えながら、その大半がビジネスに活かされていない。にもかかわらず「新しいアイデアが出ない」と嘆く。だが本当は、アイデアは枯渇しているのではない。ただ“発掘”されていないだけだ。
「知財図鑑」は、その忘れられた鉱脈に光を当てる。特筆すべきは「妄想」というアプローチ。未来を妄想し、現実の技術と結びつける。そのプロセスはまさに、技術の「解釈」と「翻訳」であり、新規事業創出に必要な“越境的視点”そのものだ。
そして人の手では辿り着けなかった組み合わせの可能性を、AIは補助できる。AIは「探査装置」になり、人間は「決断者」になる。これが未来の事業開発だといっていい。アイデア発想における民主化、共創、そして迅速な仮説生成。それを特許という“重く古びた書物”に命を吹き込む手段となる。
埋もれた資産は、活かすための物語を待っている。技術は、ストーリーと結びついたときに初めて市場を動かす力を持つ。「できること」から「やりたい未来」へ。全ての企業は、自社の知財を“金庫”にしまっている暇などない。未来は、いまそこにある過去から生まれる。眠っているのは技術ではなく、我々自身の想像力なのかもしれない。
利益1.4兆。ソニー絶好調で「エンタメ株」が止まらない
https://newspicks.com/news/14221376/body/
概要
ソニーが発表した2025年3月期決算では、営業利益が過去最高の1.4兆円に達し、エンタメ事業(ゲーム・音楽・映画)が全体の利益の約6割を占めた。特にプレイステーションや音楽ストリーミング、アニメ配信が牽引。エンタメ産業は関税の影響を受けにくく、安定した成長を見せており、日本経済の新たな柱として台頭。輸出額では自動車に次ぐ規模に達し、今後は国家戦略としても期待が高まっている。
オピニオン
かつてソニーといえば「エレキの会社」だった。だが、テレビもオーディオも市場の成熟と価格競争の波にさらされ、収益の柱としての役割は終わった。その現実を直視し、見切りをつけた先にあったのが、“情緒を輸出する産業”──ゲーム・音楽・アニメといったエンタメだった。
今回の1.4兆円という営業利益は、単なるヒットの結果ではない。「エレキの神話」に執着せず、成長産業に軸足を移した結果だ。そしてこの姿勢こそ、いまの日本の大企業が最も学ばねばならない点だ。
多くの大企業は、低収益化している主力事業の延命にこだわり、ポテンシャルのある新規領域への本気の賭けを先送りにしている。しかし、ソニーはその逆を行った。衰退を受け入れ、感情価値に投資した。それが“IPを稼ぐ構造”を生み、日本経済の牽引役にすらなっている。
いま、日本の製造業が関税や人口減少の逆風に晒される中、ソニーのように“物語で稼ぐ”モデルへの移行は、日本全体にとっても避けられない選択になる。ヒットIPは国境を超え、為替にも強い。「モノの供給量」ではなく「意味の深度」が経済を動かす時代に入った。
事業の主戦場は、「何を作るか」から「どんな感情を動かすか」へと移行している。これはエンタメだけの話ではない。製造業も、BtoBも、あらゆる領域において“感情設計”が求められている。
「ソニーのようになれ」ではなく、「ソニーのように捨てろ、挑め」。そこにしか未来はない。
新規事業のヒント、アジアにあり
https://newspicks.com/news/14222722/
概要
東南アジアでは、フェムテック市場が黎明期ながら独自の進化を遂げつつある。マレーシアのLUMIROUSやインドネシアのHeyva Health、フィリピンのHati Healthなど、各国の文化や保険制度に適応したスタートアップが台頭。特に女性管理職の多さが福利厚生型フェムテック事業の拡大を後押ししている。日本においては、制度設計や文化的背景が参入障壁となっており、アジアの事例から学ぶ必要性があると示唆されている。
オピニオン
LUMIROUSもHeyvaもHati Healthも、最先端ではなく“制約の中の創意”によって生まれている。未整備な保険制度、宗教や文化による制限、社会的な偏見──。その制限こそが、事業創造の出発点になっている。これはまさに、イノベーションの本質だ。すでに整備された市場よりも、「未完の社会課題」が眠るアジアには事業開発の肥沃な土壌がある。
制度に合わせて製品を作るのではなく、制度を変える前提で動く。理解を得るのではなく、データで説得する。今、私たちに必要なのは「正しさ」よりも「賢さ」だ。東南アジアのスタートアップたちは、それを行動で証明している。
また、フェムテックは“個人の問題”ではなく、“組織の無関心”の問題だ。日本では管理職の9割近くが男性である以上、現場の課題は“理解される以前に、存在すら知られていない”のが現実だ。これでは、導入も投資も進むはずがない。
日本のフェムテック市場が本当に開花するためには「社会実装の起点は制度ではなく現場にある」という考え方をベースに持つ必要がある。文化に寄り添いながらも、文化に挑む覚悟を持つことが重要だ。
ドコモ絵文字、25年の歴史に幕 6月下旬以降の発売機種から提供終了
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2505/21/news147.html
概要
NTTドコモは、独自に提供してきた「ドコモ絵文字」を2024年6月下旬以降の新機種から順次終了すると発表した。Galaxyシリーズではサムスン提供の絵文字、他のAndroid機種ではGoogleの絵文字へと切り替える。ドコモ絵文字は1999年に誕生し、初期の176種はMoMAにも収蔵された。長年親しまれてきた文化的アイコンが役目を終える形となる。
オピニオン
「Emoji」は、間違いなく日本が世界に贈った最も重要なカルチャーの一つだ。ドコモ絵文字が生んだ発想は、感情やニュアンスをテキストの外に持ち出し、コミュニケーションそのものを進化させた。いまや世界中の誰もが毎日使うインフラであり、ニューヨーク近代美術館(MoMA)に収蔵されるほどの文化的価値を持つ。
しかし、採取的に広まったそこにはもはや「ドコモ」の名前はないことが、今回のドコモ絵文字終焉によって明確になった。文化の発祥の地でありながら、それを世界に広め、最終的にビジネスとして勝ち切ったのはAppleであり、Googleであり、Unicodeだった。われわれはまたひとつ、“生みの親が蚊帳の外に置かれる”現実を目の当たりにしている。
文化を生むことと、それをスケーラブルなプロダクトに変え、グローバルでチャリンチャリンと持続的に価値を回収することはまったく別物だ。日本は前者においては天才的な国だが、後者の筋力が決定的に足りない。それを自覚せず「良いものを作れば広がるはず」という昭和の作法を続けている限り、未来をつくるのはいつも“他の誰か”になる。
スティーブ・ジョブズは明確にiPhoneの発想の原点は、日本に来た時にみたi modeにあるとしている。なんならその日本に来た理由は、開発したiPodを持って日本企業にAppleを売却交渉に来たときだ。今の「スマートフォン」という文化の発祥も、源泉は日本にあったといえる。しかしスマートフォンのプラットフォームのプレイヤーに日本企業の名前は一切ない。
いま必要なのは、新たに誕生させた顧客体験としての文化に対して「ビジネスをどう設計し、世界に届け、継続的に価値を獲得し続けるか」というグランドデザイン思考だ。これは単なる海外展開ではない。UX、プロダクト、ビジネスモデル、収益構造、パートナー戦略、すべてを横断する構想力の話だ。
文化を生む力だけでなく、その力を持続可能なインパクトに変えるために、いかに“次の知性”が必要だ。文化発祥国としての矜持を、次こそは「持続する価値」に転換しよう。これは絵文字の終わりではなく、日本のリスタートのきっかけにすべき話だ。
ケンタ"売れ残りチキン"が活躍、意外な「再就職先」
https://toyokeizai.net/articles/-/877764
概要
ケンタッキーフライドチキン(KFC)は、閉店後に余ったチキンを冷凍・管理し、子ども食堂などに提供する取り組みを2019年から開始。現在、全国14都県・約500拠点に広がっている。安全管理を徹底し、骨の除去や衛生基準も満たした上で提供。チキンは子ども食堂でカレーや親子丼などにリメイクされ、地域の居場所づくりや貧困支援にも貢献している。食品ロス削減と社会貢献を両立する好事例となっている。
オピニオン
「食品ロスの解決をビジネスにする」──このフレーズを、ビジネスコンテストで何度耳にしただろう。アイデアは腐るほど出るが、実際にスケールした事業は数えるほどしかない。理由は明白だ。ロスは安定供給が難しく、品質や鮮度の保証も難しく、ブランド毀損リスクまで背負う。だから大手ほど手が出せない。
実際、「TABETE」や「ZERO BOX」のように、食品ロスになりそうな商品を安価に届けるプラットフォームは一定の広がりを見せている。「ASTRA FOOD PLAN」のように残さを乾燥・殺菌し、パウダーにしてアップサイクルする取り組みもある。しかし、どれも「ビジネスとしての跳ね方」には限界があるのが現実だ。
その中で、KFCの取り組みは逆に潔い。「ビジネスにはならない」ことを前提に、むしろCSRやCSVの観点から、食品ロスを“コスト”ではなく“関係性を築く資産”として再定義している点が光る。徹底した品質管理、地域との協働、調理プロセスの再設計──そのすべてを「善意」ではなく「構造」として設計している。だからこそ、全国500拠点にまで広がった。
社会課題を強引にビジネスで解決するかを考えるよりは、「どう信頼をつくるか」「どう仕組みとして耐久性を持たせるか」として、しっかり仕組みを作り込んでいることで、活動をサスティナブルにしていることが素晴らしい。
食品ロスの“正解”は、まだ見えない。いつまでもなくならないかもしれない。でも「意味のある解」は、こうして着実に生まれている。事業にならなくても、挑戦すべき社会の隙間がある。これは、その最前線のひとつだといえる。
どこの会社も"パーパス"ばかり… 多くの日本企業が陥っている「パナソニック病」の正体
https://toyokeizai.net/articles/-/878453
概要
パナソニックHDの1万人削減発表を受け、多くのメディアは改革内容よりリストラに注目。企業パーパスの乱立とその空虚さ、表現力の劣化、AI時代の無思考化が企業力を損なっていると指摘。共感を生む言葉の力が、今こそ経営に必要だと訴える論考。
オピニオン
「パーパスを書いた瞬間、会社が変わった気になっている」──日本企業に蔓延する“パーパス原理主義”だ。言葉が先行し、魂が置き去りにされている。理念を掲げれば、人は自然と動く。そんなわけない。
そもそも言葉だけが戦略ではない。言葉の背後に「誰が、なぜ、命を懸けてまでこれをやるのか」が見えなければ、ただのノイズでしかない。体温であり、覚悟が不可欠だ。多くの企業がパーパスを“書くこと”で満足し、それが事業や文化に落ちていない。社員の目はどこか冷めていて、共感というより「業務の一環」で受け取っている。
パナソニックはある種その象徴的存在に堕してしまったといえるのだろう。改革の本丸が人員削減である以上、それは組織の持つ“意志”の不在を示している。未来を描くより、過去の最適化に終始している。それを包むパーパスは、まるで遺影のようだ。
AI時代において、論理や効率はAIが代替する。だからこそ人間に残された領域は「意味づけ」だ。企業における言葉の役割は、戦略の骨組みを示すだけでなく、感情を呼び覚まし、エネルギーを注ぎ込むことである。
AIが今後僕らの周りを席巻していくことが明確に見えている現代だからこそ、経営とは詩的行為であり、リーダーとは詩人でなければならないのだ。“思いを言葉にする力”は、経営のコストではなく、企業の命綱だ。社員が心から納得できる言葉を持たない企業は、AIがいくら最適解を示しても、動き出すことは難しい。
日本企業がすべきはパーパスを「書く」ことではない。それを「語れる組織」になることであり、それを「語れる経営者」を選任することである。もちろん語る以上は、その言葉に責任を持ち、決断し、血を流す覚悟を問われる。それが本来のリーダーシップであり、AIでは決して模倣できない「人間の表現」だ。
3. 注目のスタートアップ
まちづくり「NEWLOCAL」
概要
NEWLOCALは「地域からハッピーシナリオを共に」をミッションに人口減少社会における持続可能な地域モデルの確立を目指し、日本各地で不動産開発を中心としたまちづくり事業を展開しています。地域の未来を担うリーダーの共同創業者としてJV(ジョイントベンチャー)を設立し、「人・金・知恵」が循環する仕組みを構築することで、地域に根ざした自立的な事業の創出・拡大を実現します。
創業からわずか3年で長野県野沢温泉村・御代田町、秋田県男鹿市、京都府丹後、石川県小松市の5地域にて事業を展開。これまでに、宿泊施設や飲食店など12の施設を開発・運営中。各地域の事業成長のために累計10億円の資金を調達し、50名以上の雇用(うち約半数は地域外からの移住者)を創出するなど、地域経済に対して具体的かつ持続的なインパクトを生み出しています。
オピニオン
地方創生が語られるたびに聞こえてくるのは、「外から何かを持ってきて地域を救う」というストーリーだ。だが、NEWLOCALが描いているのはまったく逆だ。地域を“舞台”として捉えるのではなく、地域を“主体”に据えた「内発的な未来設計」。
NEWLOCALの面白さは、「不動産開発を軸としながらも、不動産屋ではない」ところにある。彼らはまず“人”に出会い、“ビジョン”を共有し、“リスク”を分かち合う。地方のキーパーソンとJV(ジョイントベンチャー)を設立し、都市の資本やノウハウを持ち込みながらも、主導権は地域に残す。この構造が、従来の外部プレイヤー主導の地域開発と根本的に異なる。
課題は、“再現性”と“収益性”の両立だ。プロジェクトの設計が属人的になればなるほど、横展開は難しくなるし、宿泊や飲食といったローカルビジネスはスケールしにくい。しかしNEWLOCALは、3年で5地域・12施設という速度で事業を拡大している。これは、「モデルの形式化」よりも、「地域ごとに伴走するチームの質」によって拡大しているという証左のように思える。
そして何より希望を感じるのは、すでに50名以上の雇用を生み、その多くが移住者だという事実。地域の資源が都市に吸い取られるのではなく、都市の人材が地域で根を張る──この逆流構造こそが、持続可能なまちづくりとなっている。
NEWLOCALがやっているのは、“地域を支援する”ことではない。“地域の中から未来を共につくる”ことだ。その舞台は、過疎地ではない。フロンティアだ。彼らの取り組みが示すのは、「人口が減っても、物語は増やせる」という未来の可能性である。
AI越境EC「SAZO」
概要
SAZOは“SAZOを通じて世界をつなぎ、技術で国境を越える”をミッションとして掲げ、AIを活用した次世代越境ECプラットフォームの開発を行っています。
これまで海外ショッピングサイトから商品を購入するために利用されていた購入代行サービスは、購入が完了するまでに購入したい商品に関する情報を自分で調べてフォームに入力し、商品の確保、支払い金額の確定までに何度もチャットを通じたやりとりが発生し、非常に煩雑でした。私たちはSAZOを通じて、国境を越えた買い物の体験をなめらかにします。
オピニオン
越境ECという言葉はずっと前からあるのに、実際に買ったことがある人は少ない。なぜか?答えはシンプルだ。「めんどくさい」からだ。商品ページは外国語、送料や関税は不透明、チャットでのやりとりは煩雑。その一つ一つが摩擦となり、体験のハードルを上げている。
そこに風穴を開けるのが、AI越境ECプラットフォーム「SAZO」。彼らは、越境ECの“全体設計”を再定義している。従来の購入代行サービスが“人力の仲介”だったのに対し、SAZOはAIでプロセスそのものを“自動化”する。ユーザーは商品URLを貼るだけで、商品情報の抽出から価格計算、決済、発送までを一気通貫で処理できる。
このプロダクトは「代行業をデジタル化した」以上の意味を持つ。それは、“買い物という文化の越境”を滑らかにするインフラであり、言語・通貨・物流といった“国家”が設定した境界を、UX設計で静かに乗り越えるアプローチだ。まさに、技術によって国境を超える思想の体現だと言える。
課題は、二つある。ひとつは“信頼”の蓄積。海外の商品をAIで購入するとなれば、ユーザーが求めるのは「ちゃんと届くのか?」という確証だ。これには、初期の丁寧なカスタマーサポートと実績づくりが欠かせない。もう一つは“スケーラビリティ”。国・地域ごとの税制・物流事情・ECサイト構造が異なる中で、どこまで自動化の汎用性を持たせられるかが鍵となる。
グローバル化が進む中で、「世界中のプロダクトに気軽にアクセスしたい」という欲望は確実に広がる。Amazonでは買えない、でも欲しい。そんな商品が世界にはまだまだある。そしてそれは、文化や価値観に触れる新たな“個人の越境”の第一歩でもある。SAZOは単に“ECを効率化する”のではない。“国を超えて欲望を叶える”プラットフォームである。その未来は、あらゆる“欲しい”が“買える”に変わる世界につながっている。
APIベースのERP「Tailor」
概要
Tailor Technologies, Inc.は大企業向けに、個社ごとにテイラーメイドされた業務ソフトウェアを10倍速で開発できるプラットフォーム「Tailor Platform」と、「Tailor Platform」上に構築された世界初(*1)のHeadless ERP(APIベースのERP製品)を、変化に強く、迅速に対応できる業務オペレーション基盤として、エンタープライズ企業向けに提供します。Tailorのコンポーザブルアーキテクチャにより、在庫、購買、出荷、会計、オムニチャネル管理といった業務モジュールを柔軟に組み合わせ、従来のERPにありがちな制約を排除。スキーマ駆動・APIファーストな設計により、自社独自のUI構築や既存システム連携が可能で、AI時代のスピード感をそのまま大企業のDXにもたらします。
オピニオン
ERPと聞くと、古くて重い。導入には年単位の時間がかかり、どの企業も“仕組みに合わせる”ことを強いられる。だがTailorは、この常識を根底からひっくり返す。「企業がシステムに合わせるのではなく、システムが企業に合わせる」──その思想を、APIベースの“Headless ERP”というかたちで具現化している。
「コンポーザブルアーキテクチャ」の思想は非常に面白い。つまり、会計・購買・在庫・オムニチャネルなどの機能が“レゴのように組み替え可能”であるということ。開発者が高速にモジュールを組み立て、UIや他システムとシームレスに連携できる。これは単なるERPの効率化ではなく、「業務オペレーションのOSを再設計する」というレベルの革新だ。
“複雑なニーズに対していかに汎用性と柔軟性を両立させるか”という構造的ジレンマはある。テイラーメイド性を高めるほど、プロジェクトごとの個別対応が増え、SaaSとしてのスケールに限界が出やすい。また、旧来のERPに慣れきった現場が「柔らかすぎる基盤」に対して持つ心理的抵抗も無視できない。導入企業の“現場浸透”と“文化変容”をいかに支援できるかが、今後の鍵だ。
それでもTailorが面白いのは、彼らが「ERPのプロダクト開発」ではなく「企業の変化対応力の土台作り」に挑んでいることだ。変化が当たり前になったこの時代、大企業に必要なのは“機能の網羅性”ではなく“変化への柔軟性”だ。Tailorはその柔軟性を、初期設計からシステム全体に織り込んでいる。
TailorはERPを“製品”ではなく“言語”に変えた。企業の思想やオペレーションを、そのまま実装できる開発環境。それは、企業が“進化し続けられる構造”そのものだ。まさに「変わり続ける企業のための、変わり続けられるERP」。この思想が根を張れば、エンタープライズのDXは、もっと軽やかで、創造的になる。
福利厚生アプリ「Leafea」
概要
現在の日本において、共働き世帯数は年々増え、高齢労働者数も右肩上がりとなっています。これだけ労働人口が増えていても日本人の1/4にあたる約3,000万人は貯蓄がほぼない状況にあります*。この状況を改善するインフラは十分にあるとは言えず、むしろ税金高・物価高などにより生活に余裕を感じられにくい状況は年々悪化の一途を辿っています。
リーフィは、このような状況を支えるインフラを作り切ろうと取り組んでおり、誰も損せずサステナブルに生活を支えられる福利厚生というアプローチで「一人ひとりの負担が増える世の中で、少しでも支えになるインフラを」実装したいと思っています。
リーフィが手掛ける福利厚生は、企業様が月額費用を払うことで、従業員様が全国10万店舗以上で割引利用できるとともに、メッセージ付きギフトを受け取れるサービスです。業界最安水準のコストで、高利用率を実現できている「福利厚生アプリ」になっており、働き手のエンゲージメント向上の数値が出始めている点が特長です。
オピニオン
いま、誰もが“しんどい”時代に生きている。物価は上がり、税負担は重く、貯蓄のない共働き世帯も増加の一途。なのに、企業が提供できる“支援”のUXは、旧態依然とした「使われない福利厚生」のままだ。Leafeaは、そこに風穴を開ける。
Leafeaの面白さは、「福利厚生=制度」ではなく「日々に寄り添う体験」と捉えている点にある。全国10万店舗以上で使える割引機能や、メッセージ付きギフトという機能は、一見地味かもしれない。だがそれは、生活の中の“ちょっとした嬉しさ”を積み重ねる設計だ。しかも導入ハードルは業界最安水準。この「ローコスト・ハイリターン構造」によって、中小企業でも導入しやすい仕組みにしているのが秀逸だ。
Leafeaが目指しているのは、単なる従業員支援ではない。“一人ひとりの生活の余白”を広げることだ。「機能」ではなく「思想」に共感する。そのための設計が、福利厚生の再発明という形で実装されている。エンゲージメント向上という定量的効果だけでなく、「企業が生活を想ってくれている」という定性的な安心感まで提供できている。
一方で、課題は“差別化”と“浸透”の2点。福利厚生系アプリは機能が似通いやすく、競合との差異化が難しい。また、導入しても「知られていない」「使われない」という壁がある。この点でLeafeaが成功するには、“UXの美しさ”と“利用促進の設計”を徹底的に磨く必要がある。
企業はもはや「給料」だけで人を惹きつけられない。人材流動化が進む中で、“共に暮らしを支えてくれる企業か”が問われている。Leafeaはその答えを、「福利厚生」という言葉の枠を越えて提示する。サステナブルな労働環境は、制度ではなく“関係性”から始まる。Leafeaは、そんな関係性のインフラを築いているのだろう。
AI創薬「iSiP」
概要
当社は2022年に独自開発のAI創薬技術をコアにした企業として設立されました。創薬とAIをはじめとする各種計算技術、物理技術の知見を融合させることで実際に創薬で活用出来る技術を確立し、複数の魅力的な自社創薬プロジェクト展開しています。
「Replace Drug Discovery Process with Digital Native」という理念の下、最新で最良な新薬を継続的に提供することで、全ての疾患を解決可能な世界を実現するとともに、低分子医薬品という特性を生かし、複雑なモダリティによる高額医薬を置き換え、誰もがアクセス可能な個別化された医薬品を世界に届けることで持続可能な医療を追求しています。この目的のため製薬会社やアカデミアと協調しながら産業を成長させ、社会全体を幸せにすることを使命としております。
オピニオン
新薬開発には、1つの薬が世に出るまで10年以上、数百億円がかかる。しかも、その成功確率は2万分の1。これでは、いくら医療が進化しても「必要な人に届かない」が常態化してしまう。iSiPは、そんな構造的な非効率に対して、創薬プロセスそのものを“デジタルネイティブ”に置き換えようとしている。
iSiPは「AI創薬」というバズワードに逃げず、“創薬の実装現場”を見据えている。創薬・物理・計算科学の知見を統合し、理論だけでなく実際に化合物を創り、パイプラインとして走らせている。しかも、目指しているのは「高機能・高価格な治療薬」ではなく、「誰もがアクセスできる低分子医薬」だという。医療の“ラグジュアリー化”に抗い、普及可能な治療のベースを創り直す姿勢に、深い志を感じる。
課題は、創薬という産業の性質上、結果が出るまでに時間がかかること。AIによって探索効率は劇的に向上しても、前臨床・臨床試験などの物理プロセスは省略できない。また、AI創薬スタートアップは世界的に群雄割拠しており、技術優位性と臨床成功実績の両輪がなければポジションを確立するのは難しい。
しかし、技術提供型スタートアップとは異なり、AI創薬において“自社創薬を手がける”スタンスは強い。これは単なる収益ポテンシャルも、インパクトも桁違いに大きい。また、個別化医療とアクセス性を両立させる思想が、これからの医療DXのど真ん中に位置している。まさに「誰かを救う」ではなく、「誰でも救える」医療への転換を目指している。
iSiPは、「創薬のスピード」と「医療の公平性」を両立させるための、新しいプラットフォームを作っている。それは、“薬を作る”のではなく、“薬の作り方を変え”、”薬の届け方を変える”という、はるかに大きな挑戦だ。
4. 書評
ぼくらの仮説が世界をつくる
“問い”に火を灯し、それを“届け方の物語”として編集していく思考。「まだ誰も言語化していない、けど確かにある違和感」を掘り起こし、その仮説に形を与え、関係性という物語にして広げていく。
この一連の営みは、まさにイノベーターのプロセスそのものだ。目に見える課題や表層のデータに飛びつくのではなく、「言葉になる前の熱」や「モヤっとした直感」に耳を澄ますところから始まる。そして、その微細な違和感を丁寧にすくい取り、言葉にし、物語として社会に届けていく。仮説を“届けられる形”に翻訳する編集力の重要性をあらためて実感させてくれる。
佐渡島さんが強調する「作品の価値は作品の外にある」という視点は、極めて重要だ。多くのビジネスパーソンが、プロダクトそのものに価値があると信じてやまないが、本書はそこに強烈なアンチテーゼを投げかける。価値は、作品やプロダクトが「誰と」「どんな関係性の中で」「どのように語られるか」という文脈の中で初めて立ち上がる、というメッセージは、まさに“関係性の設計”を重視するイノベーションと一致する。
「仮説は仮説のままでは意味がない」という視点にも強い共感を覚える。どれだけ美しい問いを立てたとしても、それを磨き込み、言語化し、視覚化し、誰かに届く形にしなければ、社会を動かす力にはならない。つまり、事業とは「問いの言語化」であり、「物語の再編集」なのだ。
この“問いから物語へ”の流れは、新規事業開発やブランド構築にそのまま適用できる極めて汎用的なフレームであり、まさに“ビジネス・プロデュースの思考法”といえる。“好き”や“違和感”といった一見主観的で非論理的な出発点を、編集的思考によって社会的意味へと変換していくプロセスは、仮説構築→プロトタイピング→検証→実装、というイノベーションの一連の流れにぴたりと重なる。
そして、それを牽引するのは知識や分析力ではなく、“誰かを信じる力”や“未熟なまま動く勇気”であるという主張には、思わず胸を打たれる。『ぼくらの仮説が世界をつくる』は、単なる編集論ではない。思考をつくり、関係をつくり、社会に働きかける“方法としての仮説”を編み直す実践哲学である。
イノベーションの現場で試行錯誤を繰り返しているすべての挑戦者に向けて、「世界を変えるのは完璧な計画ではなく、未熟な仮説だ」という勇気をくれる。仮説構築力こそが、ビジネス・プロデューサーの武器であり、イノベーターに必須の能力だ。それを学び取るための一冊として、強く推薦したい。
ぼくらの仮説が世界をつくる
2021/4/2 発刊
佐渡島 庸平 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4569901050
5. 動画コンテンツ評
佐久間宣行のNOBROCK TV「罵倒村」
テレビ東京で「ゴッドタン」や「あちこちオードリー」などを手がけ、フリーランスとなったテレビプロデューサー佐久間宣行。彼が2021年に開設したYouTubeチャンネル「佐久間宣行のNOBROCK TV」は、コンプラが厳しくなった地上波ではできないような攻めた、ある意味では昭和的なバラエティが見れるため非常にオススメだ。
数ある人気企画の中でも、Netflix版が先日公開され即座に1位になった「罵倒村」。その原点となるこのコンテンツは是非とも観てほしい。
舞台はとある“村”。そこでは、参加者たちが「罵倒してくる村民」に耐えながら、決められた場所にたどり着けば勝ち、というルール。たったそれだけなのに、人間の本性があらわになっていく。
言っていいラインをギリギリ踏み越えてくる村民たち。だが、彼らの言葉が“痛い”のは、内容よりも、その「言い方」と「的の射抜き方」にある。単なる悪口ではない。相手の痛点にピンポイントで刺さってくる、ある意味で“プロの罵倒”だ。罵倒に晒される芸人たちのリアクションがたまらない。喜怒哀楽のすべてに「人間」が出る。
罵倒村の世界観、村民の役作り、罵倒ワードのキレ、音楽の不穏さ。すべてが絶妙なバランスで“地獄”を作り出している。だけど、それを“笑って観れる地獄”に仕上げるのが、NOBROCK TVの本領。これは、まさに“佐久間印の地獄”。類似の企画をYouTuberがやれたとしても、ここまでのバラエティはやはりテレビマンの本領発揮といったところだろう。
やっていることはある種の“心理実験”に近いのかもしれない。「言葉はナイフ」だとよく言うが、それがどれほど鋭く、どれほど心を削るのか。そのリアルを可視化してくれる。だけど、そこに笑いがあるから、観ていられる。むしろ「なんでここまで笑えるんだ…?」と、自分の中の倫理観すらぐらついてくる。
「罵倒村」は、ただのドッキリ企画でもなければ、ただの笑いでもない。笑いの奥に、“言葉と人間”というテーマが浮かび上がる、極上のエンタメだ。怖くて、可笑しくて、でもちょっと泣ける。これが、今のバラエティの最前線といっても過言ではないかもしれない。
6. エンタメレビュー
阿修羅のごとく
是枝裕和が再構築した『阿修羅のごとく』は、あまりに静かで、あまりに激しかった。
登場するのは、四人の姉妹。演じるのは、宮沢りえ、尾野真千子、蒼井優、広瀬すず。全員が、どこか壊れている。そして、それが美しい。自分の人生に少しずつ歪みを抱えながら、それでも懸命に「家族」をやっている。誰もがどこか傷ついていて、でもその傷を誰にも見せたくなくて、代わりに言葉がとげとげしくなる。行動がすれ違っていく。
父親の不倫という出来事を発端に、彼女たちが積み上げてきたものが、じわじわと崩れていく。その崩れ方が、まるで硝子細工を指でなぞるように繊細で、破片が刺さるように痛い。この作品の恐ろしさは、日常の中にある。人はどうして、愛している人にこそ、きつくあたってしまうのか。言葉にしない思いが、相手に届かないまま積もっていく。そのズレが、やがて、関係を静かに壊していく。
“ドラマ”というより“記録”に近い。冒頭から最後まで、爆発音は一切しない。だけど、心の中でずっと何かが燻りつづける。是枝裕和のレンズは、説明を拒みながら、静かに真実を写し続ける。目をそらせない。役者たちは演技しているというより、ただそこに“居る”。視線の動き、沈黙の時間、呼吸のズレ。そういう細部の積み重ねが、台詞よりも雄弁に感情を伝えてくる。
昭和という時代を纏いながらも、そこにある痛みや不満、諦めと執着が、いまを生きる人たちにも突き刺さる。静かで、重くて、でもずっと目が離せなかった。優しさも、諦めも、祈りも、全部が混ざって、家族の形になっている。誰もが誰かの「味方」であり、「敵」である。それが皆が真正面から向き合うことの少ない「家族」だと、この作品は語っている気がする。
感情を揺さぶられた。何かを言いかけて、でも飲み込んだ経験があるすべての人に、このドラマは届くと思う。観終わったあと、しばらく言葉が出なかった。たぶんそれは、この作品が、いま自分が見たくなかったものを、ちゃんと見せてくれたからだと思う。
阿修羅のごとく
上映日:2025年01月09日
製作国:日本
全7話
https://filmarks.com/dramas/15805/21396/reviews/18206817
7. グルメ情報
沖縄料理 あさひ
観光客の多い国際通りから少し離れたオフィス街にある「沖縄料理 あさひ」の「あさひそば(特製ゴマダレ)」は、沖縄そばに変化球を加えた変わり種ながら、反則級に上手い一杯だ。
ゴマダレは濃厚なのに、しつこくない。ふわっと香ばしさが鼻に抜けて、その後にくるのは、ゴマ特有の深いコクと、ほんのりした甘み。そしてラー油の辛味と旨味が抜群のハーモニーを醸し出し、もちもちでコシのある沖縄そばの麺と絶妙に絡み合う。もやしもたっぷり、お肉もたっぷり。青ねぎのアクセントが、全体のバランスを崩さずに引き締めてくれる。
沖縄そばの概念をガラッと覆してくれて、スープが本当にクセになる。観光客向けの沖縄そばとは一線を画しているが、"食体験"として強烈に記憶に残る一杯だ。那覇で一食しか選べないとしたら、ボクはここを推す。
沖縄料理 あさひ
〒900-0021 沖縄県那覇市泉崎1丁目21−21
℡ 098-867-0339
🕙 11:00 - 16:00、17:00 - 00:00
https://tabelog.com/okinawa/A4701/A470101/47007412/
8. AIと壁打ちリサーチしてみた
「食品産業における革新的サービス動向」についてにAIと壁打ちリサーチしてみた
https://research-center.hatenablog.com/entry/2025/05/29/150939
9. 未来妄想新聞
量子司法「シュレ法廷」稼働
量子コンピュータで全ての審理パスを同時演算し、即時再審を標準搭載した新司法制度が本日施行。冤罪率は試験運用で十万件に二件と大幅低減。
東京・霞が関に竣工した新高層庁舎「Q-Court One」で、世界初となる量子司法システムが公式に運用を開始した。愛称は「シュレ法廷」。法廷は量子プロセッサと光学干渉計を備え、被告の主張、証拠データ、証人の発話を量子‐古典混合アルゴリズムで重ね合わせたまま解析する。判決は“観測”の瞬間に一通りだが、その裏で実行された数百万の並列分岐結果が即座に検証され、最も統計的妥当性の高いパスのみが確定判決として法廷に映し出される。
初日の審理は国選弁護を受ける無職男性(42)の窃盗事件。従来型裁判でなら三回の公判と数週間の証拠調べが必要だが、量子司法では開廷から十二分で量刑まで確定した。男性の指紋と防犯映像の画質劣化が争点だったが、AI補完映像の信頼度分布を分岐演算に反映させたことで、誤認リスクが従来比二百分の一に抑えられた。判決は執行猶予付き有罪。判決後に自動起動する「瞬時再審モード」でも結果は一致し、被告はその場で控訴権放棄を選択した。
最高裁判所の井波晶子長官は会見で「量子司法は“疑わしきは罰せず”を演算的に具体化する」と語り、三年以内に刑事事件の八割を新法廷に移行させる方針を示した。一方、弁護士会は量子アルゴリズムのブラックボックス化に懸念を示し、説明責任を果たすために判決プロセスの可視化APIを整備するよう求めている。
倫理学者からは「演算結果が常に社会正義と一致するとは限らない」との指摘もある。多元的に導かれた判決パスのうち、社会的合意の低い少数派意見が排除されることで、将来のマイノリティ弾圧を助長する可能性があると警鐘を鳴らす。
それでも試験運用一年間での冤罪推定率は0.002%。量子計算資源の拡大と透明化技術の改良が進めば、司法は「人が裁く」時代から「確率で裁き、社会が検証する」フェーズへと本格的に移行する。シュレ法廷は、その第一歩を歴史に刻んだ。
未来妄想新聞
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10. Pinky’s Slide:ピックアップ
インサイトを引き出すために、描くべき「リビングペルソナ」
11. 心に響いた名言
嘲笑は、未来と過去の衝突音といえる。既存の常識を踏み越える瞬間には必ず失笑という摩擦熱が生じる。しかし一方で、笑われる怖さを回避しようとすれば、結局は昨日と同じ景色を繰り返すだけとなる。その失笑は、変化への恐怖の裏返しだ。既得権を揺らす提案ほど、大きく笑われる。
イノベーターに必要なのは、評価を待つ潔癖さよりも、誤解と抵抗を燃料にして前進する図太さだ。たかが1度や2度笑われた程度で歩みを止めてはいけない。
鼻で笑われた構想も、諦めずに邁進し続け、プロダクトが世の中に出ていく頃には、失笑は驚嘆へと反転する。掌は面白いように返っていく。そうして味方が増えていく。
笑われたアイデアほど、そこにまだ誰も使っていない市場の扉が隠れている。
12. ChatGPTに聞いた先週のピンキー
言葉と思想を磨き上げる職人
文章やレビューに対して、文体・構成・思想の一貫性に強いこだわりを持ち、アウトプットを“作品”として磨き上げています。単なる正しさではなく、「自分の思想が宿っているか」を徹底的に問う姿勢が一貫しています。
構造思考と内省を両立する哲学者型ビルダー
感情・経験・直感を起点にしながらも、必ず「構造」「ロジック」「意味の整合性」へと昇華させる思考スタイルを持っています。自己内省を他者の問いに変換する編集的思考が際立っています。
仮説と検証で価値を問うスタートアップ志向者
スタートアップや新規事業の分析では、仮説ベースでの検証可能性と、構造的スケーラビリティの有無を常に重視しています。社会的意義に共感しつつも、実装性・再現性に冷静な視点を忘れません。
文化や構造への批評的まなざしを持つ観察者
個別の事象を越えて、文化的前提や制度の歪みにまで目を向ける視点が特徴です。「なぜ挑戦が評価されにくいのか」「どうすれば失敗が肯定されるのか」など、構造への問題提起を常に行っています。
感情を揺さぶる“火種”を探すストーリーテラー
あらゆる発信において、「読む人の感情を動かすこと」を目的に言葉を磨いています。断定的なロジックだけでなく、余白や詩性、情熱といった要素を組み合わせる表現力に高い志向があります。
ChatGPTに投げたプロンプト
この1週間のChatGPTの使い方から、私の志向性や関心をまとめてください。
13. セミナースケジュール
企画止まりの事業を「実行」に移すには?
〜アイデア創出で立ち止まらないために〜
Curations / オンライン配信 / 参加費無料
2025年06月05日(木)11:00-12:00
https://www.curations.jp/article/BKbHOdOb
“変革はいつも現場から始まる”
──ゼロ体制・ゼロ予算から挑んだ、
建設業発イノベーションの道のり
IntraStar / オフライン限定 / 参加費無料
2025年06月10日(火)19:00-20:30
https://www.curations.jp/article/FNoNNx2S
社内外から協力を得る「巻き込み力」の鍛え方
〜このプロジェクト、もう止められない!〜
Curations / オンライン配信 / 参加費無料
2025年06月12日(木)11:00-12:00
https://www.curations.jp/article/z1dLGaXB
【新規事業のいろは】
なぜイノベーションが必要なのか
〜両利きの経営概論〜
Curations / オンライン配信 / 参加費無料
2025年06月19日(木)11:00-12:00
https://www.curations.jp/article/VfF43vFJ
【新規事業のいろは】
新規事業のプロジェクト・デザイン
〜活動を始める前に準備すべきこと
Curations / オンライン配信 / 参加費無料
2025年06月26日(木)11:00-12:00
https://www.curations.jp/article/dQCBJxPs
14. Pinky’s Message:更新情報
15. 新規事業Q&Aコラム:更新情報
“共感できないビジョン”を掲げる上司と、どう付き合う?
Q. シーズ起点の企画を進めています。自分が発案者なのに、上司が突飛なビジョンを掲げて介入してきます。しかもそのビジョンには共感できず、進め方も「なんとかなる」と抽象的。この状況、どう立ち回ればよいでしょうか?
✔︎ ビジョンを掲げる上司は“使いよう”によっては強力な味方になる
✔︎ 共感できないなら、まずは“対話”で着地点を探る
✔︎ どうしても噛み合わないなら、腹を括って“使える上司”として割り切れ
https://incubator.report/2025/05/19/how-do-i-deal-with-a-boss-who-has-a-vision-i-dont-share/
“飛び地領域”で、顧客課題をどう見つける?
Q. 新規事業開発で、
これまで縁のなかった「飛び地の領域」に挑んでいます。
BtoB領域で顧客インサイトを掴むには、
どういったプロセスで課題を発見すればよいでしょうか?
また「越境」は、解決策を考えるときだけに
必要なものなのでしょうか?
✔︎ 顧客課題は“答え”ではなく、“違和感”から始まる
✔︎ 飛び地こそ、ゼロベースで現場を這いずり回る以外にない
✔︎ 「越境」は“解決策”のためではなく、“視点”のために必要
https://incubator.report/2025/05/20/how-to-find-customer-issues-in-enclave-areas/
顧客に引っ張られず、破壊的アイデアを生むには?
Q. 顧客の声を聞きすぎると、
どうしても改善提案のような
アイデアばかりになってしまいます。
顧客に引っ張られず、
非連続で破壊的なアイデアを生み出すには、
どうすればよいのでしょうか?
✔︎ 顧客の声は“過去と現在”を語るが、未来を語ってはくれない
✔︎ 観察から「本質的変化の兆し」を拾い、そこに妄想を重ねる
✔︎ 解像度の高い“違和感”こそが、非連続な問いを生み出す起点
アイデアの“筋がいい”とは何か?
Q. 新規事業に繋がりそうなアイデアを
出しているのですが、
出てきた案の“筋がいい”かどうかを
どのように判断すればよいのか、迷うことが多いです。
判断の基準があれば知りたいです。
✔︎ “筋の良さ”とは、仮説の構造と未来の拡張性の両輪
✔︎ 顧客の変化仮説と、それを支える実装仮説が明確か
✔︎ 「今の点」が、「未来の面」になる設計図を描けているか
https://incubator.report/2025/05/27/what-is-reasonable-about-an-idea/
16. マインドセットコラム:更新情報
目先の損得に惑わされるな。長期的ビジョンが成功を導く
✔︎ 目先の損得は未来の成長を阻む罠になる
✔︎ 長期的ビジョンに基づく選択が本質的な成功を導く
✔︎ 損得ではなく、未来の可能性に賭けることが成長戦略だ
https://note.com/hiroyukiarai/n/n515e16fcf033
幸せに生きるには、人を幸せにすることから始まる
✔︎ 幸せは自分だけで完結しない。他者との関係の中で育つ
✔︎ 苦しみの上に成り立つ成功は、いずれ自分を壊す
✔︎ 本当に豊かな人生は、幸せな仲間との循環の中にある
https://note.com/hiroyukiarai/n/n2ee636f84495
17. YouTube更新情報
最新更新
【新規事業のいろは】イノベーションに挑む「マインドセット」を理解する
グランドデザイン大全 解説
#01:グランドデザインとは?